2011/09/02

PBP2011仮 8/29,30

※こちらはPBP2011当時に書かれた日記ドラフトです。帰国後に書かれた写真つき日記はPBP2011カテゴリーに。

・8/29
 予約した宿を諦めて別のをとりなおしショートカットしてスイスに入ろうか悩んだが、朝起きれてしまったので予定通り走ることに。予定通りといっても最初にぐるっと周る予定だった1000m級の山岳を1つ飛ばす。

 まずは最初の峠、col de St Jean de Sixt(956)を抜けて大きめな街へ。
ここでフランスパン2本とブラウニー、6個入りチョコパン、水1.5リットル+スポーツドリンク500mlを購入。フランスパンは背中ポケットに差す。このサイズだとちょうどいい。PBPのヤツはデカすぎた。
前日の脱水しかけに反省し、今後は常に水3.5リットルを持って走ることになる。普通に走っていても後輪側がよれる感じがして走りづらいが脱水よりマシだろう。ただしこの後は大きな峠を走ったため補給所には困らなかった。

 次に登るのはcol des Aravis(1498)。時おり振り返り、通った街を見下ろしながら。
山あいの中にポツポツと建つ家。このくらいの標高になるとこれまでの小さな峠とは景色も変わってくる。
うーんやっぱりこれだ。こっちに来て走りたかったのはこういうところだよな。
PBPはなんかコース的に糸魚川ファストランに近い感じ。どちらもイベントとしては好きなんだけど。

 col des Saisies(1650)を抜けて下ると、そこは自転車オブジェで飾られた街があった。
なぜこんなに自転車が飾られているのだろうか?もうホテルまでそんなに距離はないはずだからとダラダラ写真を撮りつつ下る。

 下っているのは周りを山々に囲まれた谷底のようなところ。こんなとこ下っちゃって大丈夫なの?と不安になる。
目の前にはcolmet de Roselend(1968)通過可能の標識。げ、もう一つ峠があったのか。
いやしかし、ここから2000m弱まで登って下ってなわけないよな、この峠は途中曲がった方向なんだよなとの期待は打ち砕かれ、日が落ちていく中のヒルクライム。2000m弱ともなるとこれまでとはまた違った景色。ハゲ山を急いで通過。寒い。

 下りが寒いというよりは川沿いが寒い。標高よりも隣が川かどうかでかなり気温が違う気がする。
膝を冷やしてしまい痛めながらブールサンモーリスの街へ。

 おとなしくここに宿をとればいいものの、暗くなってからでも登りは寒くないから大丈夫と次の峠の中腹に宿とったんだよな。日も暮れてきたものの登りなので寒くない。まさに思惑通りなんだけど…
真っ暗な山道を疲れた体で進むのはキツい。朝フレッシュな状態で登ればいいじゃないかと、こんなところを予約した自分
を恨む。
 真っ暗な中ホテルの光が全く見えない。本当にこんな場所にホテルがあり、23時までチェックイン可能なんだろうか?
山小屋みたいなところをじいちゃんが管理してるだけとか。開いてなかったらどうしよう。

 300mまで近づいても光が見えない時はかなり焦ったが、目の前に現れたのはかなりしっかりしたホテル。
レストランも23時までやっているようで、ビールを飲んで店の女性とお話。
やっぱり英語ちゃんと話せるようになりたいな。


・8/30
 この日は2つの国境越え。2つのSt-Bernard峠を越える。
まず最初はcol du Petit St-Bernard(2188)。前日1450m地点まで登っていたし、名前にプチとかつくくらいだから大したことないと思っていたがしっかりの2000m超。プチでもセントバーナードはやっぱりでかい。
 途中の町や頂上にはセントバーナードのぬいぐるみが一杯。前日膝を冷やしてしまったためかかなり悪化していて痛み止め飲んでも登るのつらいよう。

 国境にはフランスとイタリアの看板。線が引いてあるわけじゃなくて10mほど離れた場所に向かい合って設置。
国境というのはラインだと思ってたけどゾーンなのかしら。
その後はイタリアのアオスタまで下り。

 そういえば前日から牛の首に鈴がつくようになった。
これまでは全く見なかったのに、フランス南部からイタリア、次に行くスイスでも牛やヤギの首には鈴がかけられており、山のなかに鈴の音が響きわたる。
 山岳地帯で放し飼いにしているので捕獲しやすいようにこうしてるんだろうか?日が暮れて周りが見えなくなっても鈴の音だけ聞こえて面白い。そしてここイタリアでは電車の踏み切りの音がこれに似ている。牛かと思ったら電車だった。

 アオスタからはcol du Grand St-Bernard(2473)。
大だけあって31kmで1600mほど登る。大きなトンネルが貫通しており、車はこちらを通ることも可。
頂上ではやっぱりセントバーナード。そしてスイス入りして下り。
 この峠の北側、スイス側はトンネルが多いため登るなら今回のように南からがいいだろう。
交通量は多くなく、タイトなカーブも少ないため下りならば殆ど車に抜かれることなくトンネルを通過できる。
ただし舗装状態はあまりよくない。特に両脇は荒れているので車が来ていないことを確認しながら車線真ん中を急いで下る。

 本来の予定ではこの下りの最中にひとつ峠を越え、下りきったあとも直進して山を越えてホテルだったが、脚が全然動かない。2つめの峠を登る時間はありそうだったが幹線道路を迂回。
 ホテルまでは下り基調で30km。この道、両側が山というか岩肌の見えた壁。
どちらを見ても遠くに山が見えるなーなんて生易しいものではなく、道の左右1km以内に壁。

 スイス恐ろしい。なにかもうこの国から脱出できない気がしてくる。
車道はグレーチングがあり走りづらい。それにスイスの車はフランスやイタリアほど自転車を大きく避けてくれない。

 ホテルに到着すると入り口の鍵が閉まっている。ベルもない。
豪華なレストランがついているがこちらも営業していないようだ。どういうことだろう?まだ19:30で22:00のチェックインタイムには余裕があるはずだけど。
 もしかしたらホテルの人がちょっと用事があって外に出ているのかと待ってみる。が戻る気配もなし。
街中ではなく、ルート沿いにポツンとある宿を選んでいるため、ここがやってないとなると大変だ。が、客室への裏口のドアは開いていたので、もう廊下で寝て翌日どうなってるのか聞いてみようと思う。

 そこへ颯爽とランナー登場。ここに来る時に抜いた人だ。
「鍵を探しているのかい?」
いや鍵というよりチェックイン済んでないんですけど。
「このホテル閉まってるの?」

 鍵ならそこにあるよとランナーの指差した先、ドアの下には白い封筒が、そしてそこにはMr. Hirokazu Suzuki。
中を開けると部屋の鍵。なにこのアドベンチャーゲーム。といぅかこのホテルはどうなってんの?
 私の英語力では詳しいことはランナーに聞けず、とりあえず部屋に入って一休み。
booking.comの情報を見返したら「月曜火曜はレストランやってないよ、チェックインも18時まで」と書いてある。
どうかしてたのはこっちのほう。

 食事が無いのはつらいけど外に出て食べにいくには時間がかかる。
翌日のホテルチェックインは18時までと朝早く出ないと間に合わないため、洗濯をし、非常用の補給食を食べて就寝。
部屋にあった扇風機使用で洗濯物は朝までにほぼ乾いていた。


 走行データ
8/29 155km, 10:32, 116w, 4258kj
8/30 161km, 9:12, 96w, 3044kj

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