2018/05/18

ちょうど一年前に…「ブルベのすべて」のできるまで

  私の初の著書「ブルベのすべて」が発売されて1年経ちました。
Amazonでの評価は4.9。正直かなり出来過ぎかと思います、高評価をくださった皆さんありがとうございます。

  この本を書くことになった経緯ははぐらかすとして、2014年末、ブルベの本を出すという話が生まれました。
  出版社であるスモールライト様は、200km,300km…と順にブルベを完走していくような、ガイドブック的な物を出したいというお話でした。

  RAAM(Race Across AMrtica:アメリカ大陸横断レース)出場の為にネームバリューの欲しい私には願ってもいない話でこれに飛びつき、執筆活動が始まります。しかし初めての出版、それに2015年のRAW(Race Across the West:RAAM出場資格を得るためのレース)での入院などでなかなか執筆が進みません。

  ようやく原稿が完成したのは2016年末、出版社が提示した期限にも間に合わず、恐らく大変なご迷惑をおかけしたと思います。

  さてこの原稿、[V1]としましょう。これを元にプロによる手直しが行われます。
  これは最初の契約時にも聞いていたことで、ド素人の私の文章がそのまま出版されずに手直しが入るというのは、こちらにとっても非常に有り難い話でした。「プロによる修正」を考え、提出したものは箇条書きメインでややラフに書いていました。

  この[V1]を元に、校正、校閲された[V1']が作成され、私の手元に戻ってきました。それを見た私の感想は「違う…」。
  私はこの本を単なる「ブルベ参加のためのガイドブック」にしたくはありませんでした。例え出版社が、世の中が求めているものがそうであっても、ブルベの楽しさは試行錯誤してそれに辿り着くことを含めてなのではないか?これがBESTと言う形で読者にスタイルを提示して、果たしてブルベの楽しさを伝えられるのか?そんな想いがありました。

  「ブルベの本を書くことになったよ」、そう知人に伝えた時、スタッフのツカポンさんには「ブルベが雑誌等で取り上げられるようになって以降、参加者の装備は非常に画一的になった。ガイドブックのような、そんな本は出して欲しくない」そう言われました。
  それは私も同じで、出版社の求めていた物はガイドブック的な物だったのかもしれない、しかしこのソツなく纏まった[V1']原稿は、私が書きたかったくだらない部分は削除され、論文のようになっています。それは私が考えていた完成形とはかけ離れていました。


  この[V1']の存在は非常に悩み、本気でハゲそうでした。RAWで資金援助してくれた人向けにこっそりFBグループを作成し、ブルベ本の現状を流していましたが、この時私は相当愚痴っていました。仲のいい知人には本が出るかもよという話は伝えており、そういった人がこの[V1']を見た時に、あー普通のガイドブックね、そう思われるのが嫌でした。

  友人から「望んでいないものを出すくらいならちゃんと出版社に話してみたら」とアドバイスを貰い、「これは私の望んでいた文章ではない、原案として名前が出るのはいいけど、私の名前で出版したくはない」とまで(超失礼)出版社に言いに行きました。
  恐らく「私の文章が拙い」と感じている方は最終的に出版されたものよりも、この[V1']のほうが合っているのかと思います。プロにより手直しされた文は余分が無く、しっかりとまとまっていました。しかしその余分は、たとえ拙かったとしても、私にとっては大切な部分でこの本のキモでもあります。
  有り難いことに編集者は(散々スケジュールが遅れているにも関わらず)、「著者の望まないものを出すのもなんなので、やり直しましょう、次は鈴木さんの文そのままで行きます。」と言ってくれます。元々手直しを意識して書いた箇条書きの文は、「段落を考えて構成しろ」とのアドバイスを受けて書き直すことになります。

※もちろん、この後作成される[V2]はこの[V1']の修正が多く盛り込んあります。ですので独力で書いたわけではありません。


  出版社としては「ブルベのガイドブック」的な物が欲しかった。私はそれを書きたくなかったのだけれど、文章力の無さ故に余計な部分は削られ、「ガイドブック」としての体裁を深めることになってしまった。元の原稿[V1]ではそれが伝えきれなかったばかりにこの結果になった。ではどうすればいいのか?私の考える「ブルベの楽しさ」を読者に伝えるにはなにが足りないのか?

  やっぱり臨場感かな。論文調の語り口なブルベ攻略マニュアルからは、ブルベの楽しさ、ツラさ、そういったものが伝わってきませんでした。今までBlogに書いたような、ブルベの日記を各項目のテーマにあてはまる形でつけたらどうだろう?やってみるとこれが面白く、これまで停滞していた執筆もワリと早く進みました。説明文まずありき、それに補足で日記をつけ足したのが今の原型、[V2]作成の流れです。

  架空のブルベ日記を書くにあたって、読者と同じ目線になる存在の「私」、それからそれをガイドするベテラン「友人」を設定しました。これ初めて言いますが、両方私がモデルなんです。「私」は何もわからずに初めてブルベに参加した時の私、「友人」は慣れてきて妻のサポートしてしている時の私です。
  ただ、読者の性別がわからないため、「私」はどちらとでもとれるような性別不詳の、中性的な言葉遣いをするようにしました。しかしこれは40過ぎたオッサンの勝手な妄想で、読んだ妻に言わせれば「いや女性とは思えんわー」とのことでしたが。

  あとは「あとがき」に書いたように途中に登場する元気のいいオッサンは当時AJ会長の稲垣さんがモデルです。周りの批判をおいて行動する稲垣さんならこの本もその人脈で売り捌いてくれるかも、そんな下衆な考えが無かったといえばウソです、でも誰かを登場させるときに真っ先に頭に浮かんだのが彼でした。あとはブルベ参加当初お世話になった埼玉スタッフの山口さんかな。

  そうして完成した[V2]原稿をもとに、今度は校正のみ行われ、無事出版されることとなります。土壇場で日記をつけたために用意する時間はありませんでしたが、場面に合った写真を用意して載せたかったですねえ。


  ま、こんな所ですかね。
  こちらにある本書にある誤りは第2版では修正されています。同ページ[補足]で書いたこと以外にも、補給に関することはもう少し記載したかったかな。
  あと大きな間違いは無いと思いますが、現時点では私は「カフェイン断ちは意味が無い」説を採用しています。本文ではかなりボヤけた書き方をしていますし、どのテスト結果を信じるか、って話なんですけどね。