走る、水貰う、水かける、走る、水貰う、水かける…
真っ暗な中でずっとペダルを回していた夜間の気分は、ローラー台に乗っているのとさほど違いは無かった。
しかし昼になってもそれは変わらない。
私が登り、特に知らない土地の峠が好きなのは「登り切った先にはどんな景色が広がっているんだろう?」というワクワクがあるからだ。
この砂漠、基本平地といっても細かなアップダウンはある。先に見えるピークの先に広がるのはさっきまでと同じ景色、次のピークを越えても同じ景色、ただそれの繰り返し。
そもそも楽しんで走る気なんてないから問題ないわ!あれ?昨日は「今ここを走っているのが最高に幸せ」なんて言ってたっけ?
サロメを出発して暫くするとどうも走りに違和感が、スローパンクか後輪の空気が少し抜けているようだ。
パンク修理するのかシーラントで騙して次の休憩ポイントまで走るのか、その辺りの判断に迷って若干時間を取られてしまう。
最初のパンク修理。記憶にあるパンクは4200kmで5回。
結局2号車を呼び出してパンク修理。
この先には序盤の難所と言われるYarnell峠が待ち構えている。
峠というと木々が生い茂った高地を想像するかもしれないが、あれは実際斜度のついた砂漠だ。
あと少しで日暮れ、陽が落ちて気温が下がれば速度は復活していくだろうし、修理を待って車内で休憩。
次のチェックポイント、コングレスを通過する頃には辺りは薄暗くなっており、楽しみにしていたプールに入ることなく通過。
昼間に到着してプールで涼めたら最高だったんだけどなあ。
コングレス名物のプール。Bullshifter Bicycle Clubがボランティアで設置。
TS6コングレスから次のプレスコットまでは、KOM、キングオブマウンテンを賭けた山岳区間となる(KOMは指定された複数区間の合計タイムで競う)
えっと、峠ですかこれ?
KOMは、獲れるチャンスなんて万にひとつも無いくらいなんだけど、それでも総合優勝よりはまだ見れる夢で、気温も下がってる今なら暑い時間帯に通過した選手よりずっと有利だと加速してみる。
はい、夢でした。ここまで消耗しきった体で速く走るのなんてとても無理。日が暮れていく中をマイペースで登坂し、標高1500mほどの頂上へ。
ここでは2号車も待っていて、防寒具を羽織って下りへ突入。
遮蔽物のまるでない砂漠、夜間は日中とはガラっとかわって冷える。特にこの区間は3つの峠を登る山岳コースで衣類着脱を何度もすることになる、こんな時にサポートカーは便利だ。
2つめの峠を越えてプレスコット到着は深夜0時すぎ、こんな時間でもウォルマートは開いていた。
駐車場にはサポートカーがちらほら、熱中症の大失速からは少しずつ盛り返し何人かには追いついたか。RAAMよりもRAWの選手のほうが多いかな、大型のRVを回してここで寝ている人もいるようだ。
あおば式マッサージを受けた後、冷えた体を温めるため2号車にオーダーしていたお湯でカップヤキソバを作って食べる。
ここまでの主食は既に見るのも嫌なジェル、無理やり胃に流し込むだけの甘いジェルと比べたらヤキソバのスペシャルディナー感すごい。
ちょっと残念なことにクルーが用意してくれたのは、辛いソースのヤキソバ。
10個くらいある中でなんでこの辛いヤツが選ばれるかな、舌がブツブツでメチャ痛いのになと、噛むのを諦めて胃に流し込む。
…結局流し込むのか。
ここでクルーに「辛いヤキソバはやめて」と伝えなかったせいで、次に作られたカップヤキソバも辛いソースのヤツだった。疲れていてなかなか口を開けないのだけど、言葉によるコミュニケーションって大事だな。
いや、あの時にもう一つ残っていた辛いヤキソバを投げ捨てれば良かったんだよ。
縦断ニュース2日目
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