縦断ニュース0日目
前々回日記の最後に、クルー作業で忙しい冨永さんが合間にアップしていた縦断ニュースを貼るの忘れてました。
アメリカ横断なのになぜ縦断?と思われるかもしれませんが、「縦断ニュース」はニュースのブランド名なのです(たぶん)。縦断ニュースがアメリカ横断を特集してるってことですね。
さて、レース日記へ。
毎度おなじみジム
名前を呼ばれてGPSトラッカーを受け取りスタートラインに立つ。号令後、後ろのサポートカーを振り返って、レーススタート。
緊張よりワクワクが止まらない
楽しい、本当に楽しい。十数年前、ぼんやり参加したいと思ったあのRAAMを今から走るんだぜ。本当に友人たちに恵まれてる。
完走への重圧はどこかへ吹き飛び、ここを走ることができる幸せに昇天しそうだった。
規制されたこの区間で前に一般自転車がいて焦った
海岸線から右折し、短い坂を登って踏切を超えるとサポートカーとはお別れルート。
ここから13kmは川沿いのサイクリングロード。パレード区間ということで前走者の追い越しは禁止。
追い越しても特に咎められはしないが、速く走りすぎた場合サイクリングロード出口で指定時間まで停車させられる(Ave30km/h計算かな)。
すぐに前スタートの人に追いついてしまい、ドラフティングにならない距離を保ちながら追走。
嬉しすぎて気を抜くと出力が上がってしまう。ゴールまでは長丁場、焦っても仕方なし、とにかく序盤は抑えなくてはならないから丁度いいか。
いくらなんでも遅すぎだよなとちょっとイラっとしながらパレード区間を終了したら、前の人は参加者じゃないサイクリストだった。なんだそりゃ。
10km弱のサイクリングロードが終わってスタッフのチェックを受けるとレース開始、
最初のチェックポイント(TS:TimeStation)までは142km、獲得標高は2700mという中々の山岳コースだ。前回のRAWでクルーの加藤さんが「アメリカ人はほんとアホだからとにかく一直線に道を作ることしか考えてない」と言っていた。
まあアホというより多分国土が広いからで、日本みたいに九十九折の斜面なんてのは少なくてやたら直線。カーブを曲がるとずっと先まで続く真っ直ぐな登りを目にすることとなる。
「アホだ、アメリカアホだ」普段登りは好きなんだけど、序盤からいきなり消耗したくないし、怒りをアメリカにぶつけながらペダルを回す。
タイムラプス動画
私の走行時の速度、RAAM参加者平均と比べ遅いほうじゃないと思ってるし、体重も軽い。
登りが得意でなさげな何人かの参加者は追い抜いた。が、逆に凄い速度で後ろから追い抜かれたのが1,2回。
ヤツら体重80kg台で私より登り速いんだよね。勿論プロなら当然だろうけど、アマチュアのロングライド好きがその体重で登りが速いと、自分まるで勝負になってないじゃんて悲しくなる。
38km地点でサポートカーと合流し、ここからはリープフロッグサポート開始。
予定より少し遅いかな。短距離の練習をあまりやってこなかった為か、登坂速度は去年までより落ちている感じがする。ま、重要なのはそこじゃないから良し。
補給の一コマ、360°動画から切り出し
過去2回、スタートから最初の1200m峠を越えるまでは気温はほどよい感じだった。スタート地点のオーシャンサイドなんて連日寒くて服を買ったくらいだ。
しかし今年はこの区間で既に暑い。「峠を下って砂漠に入ったら激暑くなるからそこから全力で冷却装備投入」そう予定していたため、折角持ってきたいろいろな装備を出すのが遅れてしまった。
シャーマーズネック対策で用意したソフトフラスク+ツール缶でのドリンク補給をこの区間で試しており、ドリンクに氷を入れられなかったのも失敗だったし、まだ気温が上がりきっていない日本からの参加で体も慣れていなかったのも大きい。
前回参加前にやったストーブ焚いてのローラー、あれ意味あったのかもしれん。もしくは他の参加者のように1週間ほど早く現地入りして暑さに慣れる必要があったか。
何を後悔してももう手遅れで、スタートから80km、暑さで頭が朦朧としてきた。なんだか悪寒もする。
薬で抑えている慢性腰痛も痛みはじめ、休憩して痛み止めを増量。激しい吐き気に襲われ、数回吐く。
これは完全に熱中症じゃないか、3年前と同じ、いったい私は3年間何をやってきたんだ。
回復を信じ車内で休む
救急搬送の悪夢が蘇る。症状は3年前のあの時に似ている。
気温はまだずっと低いが、このまま走り続けたら確実にリタイアになる。体に水をかけ、エアコンをガンガンに効かせた車内でグッタリした。
10分、10分と小刻みに2回休んだが吐き気は治まらない。こんな序盤から何やってんだか。100kmリタイアなんて皆にどんな顔して帰ればいいんだ。この先のグラスエレベーターから飛び降りたい。本気でそう思った。
心配そうに覗き込むクルーの蓑田さんを見て、いつぞやの宇都宮山岳ブルベを思い出した。
熱中症でヤラれて吐いた際、道の駅食堂の座敷で休憩させて貰った。エアコンの効いた室内で2時間、蓑田さんが後ろから追いついてきた時には症状は回復していて、彼に「熱中症だったとか嘘なんじゃねえの」なんて言われながらその後の山岳を快調に走ったっけな。
2時間、それだけ休めばなんとかなるかもしれない。3年前からの少しの成長は、ここで休憩を選択できること。
ただ今から2時間休むと、この先1200mからの急激な下り、通称グラスエレベーターの通過が夜になる。
砂漠から強い風が吹き危険ポイントとして知られる峠下りを暗くなっての通過は避けたい。ここでの休憩はあと1時間が限度か。下りきって最初のチェックポイントには簡易ベッドを用意した2号車が待っている。そこまで辿り着いて次の手を考えよう。
暑さでヤラれた体でダラダラ登坂
まだフラっとする頭で最後の登りをクリアし、砂漠を見渡すグラスエレベーターへ。
あれ?あんまり眺め良くないな
ここ、下界に広がるのはこの先進む砂漠というRAAM序盤の絶望ポイントなんだけど、山の影に入っちゃってて今年はイマイチ綺麗じゃなかった。
景色を堪能する気分でもなく慎重に下ってTS1、ボレゴスプリングスに到着。
スマン、またやっちまった
ここまで6時間40分、予定の5時間弱到着からは2時間近い遅れで、順位はほぼ最下位。
2,3号車のクルーと話し少しだけ復活
峠を越えてから気温はグングン上昇していき、19時過ぎでも39℃。
ただ長い下りで体も多少は落ち着いたため、予定していた2号車での休憩は取りやめて先へ進むことにした。
気温が下がる夜にできるだけ走行距離を稼いで失った時間を取り返さなくてはならない、クルーの顔をみたら元気になったし。
ゆっくりでも漕ぎ続ければゴールまでの距離は近づく。
だがそれで更に体調を崩してリタイアしては元も子も無いわけで、休むか進むかは、特にこんな時間の無い状況では難しい問題だ。
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