2019/06/13

2018RAAM_06:朝焼けと共に復活

 あまりにTS1到着が遅すぎて、既にこの時点で日は暮れ、ダイレクトサポート開始時刻になる。

 予定ではこのTSでロードからTTバイクに乗り換えるつもりだった。
 この先暫くは砂漠で起伏は緩い。TTバイクは体勢が窮屈だけれど、空気抵抗減は絶大で出力減を余って速度はUP。消費エネルギーは減るわけで補給面で考えてもベストな選択だ。

 遅れをなんとか取り戻したい、しかしここ迄の間で腰痛が発生して薬を2倍量飲んでる。TTバイクは3号車に積んでいるので、一旦交換したら違和感を覚えても3号車合流ポイントまでメインバイクに戻せない(スペアバイクになら戻せるし、入れ替えるという作戦もあったが)。
 なによりこれ以上痛くなってしまったら多分アウト。少しの速度増よりも確実性をとるべきと考えた。結局この後ずっとTTバイクは使わず仕舞いだったが、首のことも考えるとこの判断は正しかったと思う。

ここからは夜間走行

 ボレゴスプリングスを出発してみたものの体調は万全からは程遠く、途中10分ほどの休憩を挟みながらゆっくりと進む。
 交通量の多いRAAM序盤、後方から凄い勢いで迫る大型トラックに撥ねられないため、サポートカーが後ろについてくれているのは非常に心強い。ドライバーによって自転車にどこまで近づけるかが違ってきて、ヘッドライトの明るさで「あ、さっきの休憩で〇〇さんに運転代わったな」なんて想像できて面白くもある。

 交差点で軽く停止し、右折したところでスタッフカーに止められた。
 一時停止では「足は地面につかなくてもいいけど確実に停止すること」と事前のミーティングで説明を受けていたが、さっきの停止は少し曖昧で、止まったスポークを1秒目視できるくらいでないとダメだとお叱り。
 それから右折した際にサポートカーから離れたよね?サポートカーの右折を待たずに少し先行したからペナルティーだと。

 初犯だし、一応停止はしていたから今回は見逃そうともう一人のスタッフの口添えでなんとかペナルティは避けられた。
 交通違反でペナルティなんて最低に格好悪い。これ以降、停止線では必ず足をついて止まるようにした。しかしよくこんな砂漠の交差点でスタッフ張ってたなあ。

 RAAM、巡回スタッフや他の参加者からの密告で軽微な違反が見つかると1回1時間のペナルティ、4回目で失格となる。
 信号無視などの大きな違反は一発退場。交通規制なしのTTといっても、どこでスタッフやライバルが見ているかわからない。これが違反の抑止力になっていて好きだ。昔の糸魚川ファストランなんて酷かったからな…

懐かしのブロウリー

 3年前入院した思い出の町、ブロウリーでサポートカーがガソリン給油。
 本当はクルーにあわせてレーサーが停止させられることはできる限り避けるべき(一緒に停車しなくていい昼のうちに給油、あるいは2号車をまわす)。事前に伝えておいてくれればまだ休憩を合わせることもできるが、止まりたくないのに止まるのも勿体ない。今回は熱中症のダメージでヘロっていたので大人しく一緒に止まってアイスを食べた。

 もともとユルかったチームが、序盤のダメージで私の停車時間が増えたことにより更にユルユルになってしまったような気もする。
 もちろんクルーはしっかり動いてくれたし、予想していたパフォーマンスと比べて何の問題も無かった。ただ、クルー都合で停車していいやという雰囲気は、もしかしたらこの辺りで強くなってしまったのかもしれない。となると熱中症のダメージは、単純なタイムロス以上に大きかったか。


 ブロウリーより先は腰のあたりほどの高さの低木のみ生える砂漠地帯だ。
 緩やかな登りがジワジワと体にきてキツい。前回この区間は全くの平地だと思ってたのに…体調によってコースの感じ方はこうも変わるものか。
 街灯や民家の明かりはもちろんなく、路面状況の把握はサポートカーの強力なLEDライトが頼り。

とにかく何もない。後ろに見えるのは休憩していたRAWのサポートカー

 この道路はメキシコ国境とかなり近い位置を走っている、そのため、国境でもないのにパスポートが必要な検問がある。
 事前のミーティングでもレーサーのパスポートは必ず後ろのサポートカーが所持するようにと指示されていた。特にパスポートを見せることなく通過できたのは、私より前に多くの参加者が通過したからだろうか。


 アメリカに居て戸惑うのが単位だ。次のチェックポイントまであと何km?って聞いてるのに、サポートカーからは○○マイル、って返事がくる。
 こっちはペダル回すだけの単純作業員で頭使いたくないから、車内でkmに変換してくれないかな……。

 これはレーサーには関係ないことだけどガソリンの単位もガロン、燃費がガロン/マイルとかもうサッパリわからない。

 同様に温度が摂氏じゃなくて華氏を利用しているのもアメリカ許しがたく、「何℃?」って聞いてるのに「98℉」とか熱湯かよ、ってなる。そんな華氏、ずっと耳にしていたら「あれ?摂氏よりわかりやすくない?」と思えてきた。

 摂氏は華氏に対してスケールが9/5倍されている。ざっくり2倍とすると、華氏の1℉は摂氏の0.5℃。摂氏で整数だとやや大雑把になるけど、華氏だと小数点以下無くても気温の尺度として悪くない感じ。

 それに100℉=37.8℃ってのもいい。クルーに気温を聞いて3桁が返ってきたらもう沸騰する暑さ。
 そんな風に「ああ華氏も悪くないかもな」って慣れてきたらダッシュボードの温度計設定が変更されたようで、摂氏で返事がくるようになった。

ひたすら直線

 曲がり角は100km以上先な、そんなひたすら真っ直ぐな道をひたすら漕いでるうちに気温は30℃以下にまで低下、熱中症のダメージからも回復しだして一気に調子が上がってくる。

 地平線がぐるっと見渡せる大地で、雲ひとつない空の色が徐々に変わっていく夜明けに前回は感動したっけ。
 今年はそこそこ雲がかかってて、もしかしたら日中もそんなに暑くならないんじゃないかなと淡い期待を胸に抱きながら、最初の州境を越えカリフォルニアからアリゾナへ。

 461km、TS4、パーカー到着は19時間44分。
 TS3からのグロス速度は29km/h、速度的にはかなり回復したものの、なんと前回から5時間半以上の遅れ。
 こんなんで間に合うの?


縦断ニュース1日目

0 件のコメント:

コメントを投稿