2019/06/11

2018RAAM_04:スタート前のポエム

 クルーの皆が遅くまで準備している中、一足先に寝た。
 目覚ましが鳴るより少し前の目覚め。途中で起きることもなく、グッスリと眠れて頭も体もスッキリしている。


 実は私はメンタルめちゃくちゃ弱い。完走できなかったらどうしよう、そんなことを考える度にオナカが緩くなってトイレに駆け込み、前日はケツから血を流すほどだった。3年前のRAW初参加の時もこんな状態。2年前の2回目はそうでもなかったかな。

 自転車に乗り始めた頃、レーススタート前といったらもうそれは大変で、緊張して震えが止まらなかった。何度かレースに参加して少しずつ自信がついてくうちにこの震えは無くなってきたけど。

 オリンピックなどの国際的なレベルの選手に対して解説がプレイを見て「〇〇さんはメンタルが強いですねー」と言う。本当だろうか?自分のように前日ケツから血を流してる人なんていないんだろか。
 ああ、でも前回の冬季オリンピックのカーリング女子やスケート選手は、なんかもう最初から緊張もなにもないようなコメントしてたな。小さい頃から場数を踏んで、自信も裏付けもあるんだろな。


 そんなことを考えながらジャージに袖を通した。
 部屋から出て、朝早くから準備をしてくれていたクルーに声をかけ、スタート地点に向かう。


 ロードを買った2004年から14年、このRAAMは私のロングライドの集大成だ。

 ブルベの知り合いで構成されたチーム、それは決してタイムを狙えるようなチームじゃない。
 完全にレース志向でなく、ロングと中途半端な自分のチームにはむしろそのユルさが相応しくて、そんな仲間たちと一緒に参加できて本当に幸せだし、この人たちと一緒にゴールしたいと思う。彼らもきっと、私のゴールを期待してくれている。

 RAAMソロの初参加完走確率は48.3%。平均6万ドルの予算をつぎ込み、週20時間以上練習しても、半分以上の人がDNFする厳しいレースだ。

 完走する自信はある。
 年末から続く慢性腰痛の痛みを薬で騙しながらの参加。ここ数カ月の練習も本当に追い込めたのかどうかはわからない。
 でもそんなのは些細なことで、ここ10年やってきたことを考えたら完走できないわけはない。少なくとも膝の痛みや疲労でリタイアする自分は頭に浮かんでこない。
 今の速度なら1日3時間寝てもゴールには十分間に合う。後半慢性疲労で断続的にやってくるだろう睡魔も、全部織り込み済みだ。


 サポートカーがスタート近くの駐車場に着いた。


 震えは無い。
 クルーの皆は楽しんでくれればいいさ。氷と補給食と、寝床を用意してくれれば、後は私がアナポリスまで連れてってやるよ。

 さて、ちょっとアメリカ横断してくるか。


 この後10日間、厳しさの想像はつく。次の笑い顔は10日後かな。

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