2011/12/02

PBP2011 Stage18_4:俺は限界を超えるぞー


  あー、これはもうアレですね。超えちゃってますね、限界。

■森林限界
高木が生育できなくなる限界高度のこと。
日本の中央アルプスでは2500m、ヨーローッパでは1800mくらい。

  限界を突破してしまったら死んでしまいますが、森林限界ならば超え放題。
しかもここヨーロッパではその限界値が低くて突破しやすい!

  ヨーロッパの山々を走る前は、日本よりもっと標高の高い山が沢山あると思っていました。
でも実際はそうでもないんです。緯度は日本より高いですし、冬になれば雪で通行出来なくなってしまうので舗装路で高い山ってのは日本とそこまで変わらず2500mくらい。
  同じ2000m峠でも大く違うのはこの森林限界。頂上に近づけばそこはもう高木の無い見晴らしのいい世界です。2360mまで登っても木の中な大弛峠とは違うのですよ。


  1600m地点のロズラン湖手前は高木の中、池の周りはポツポツと、そこから少し登っただけで全然違う景色です。


  もうここから上は岩です。日の光も赤みを帯びてきました。


  影が長く伸び始めています。日が暮れる前に急げー。


  19時半、峠頂上に到着。
Cormet de Roselend。標高1967m。
麓のボーフォール(Beaufort)からは20.3kmで標高差1227m、平均斜度は6%。
途中ロズラン湖の周り2kmほど平地(やや下り)のため、そこを除いた区間の斜度は6%より大きいです。


  2009年のツールドフランスでは1級山岳カテゴリー。
この日登ったAravisが2級、Saisiesとココが1級ですが、標高差やキツさ、それに見た目的にも、一緒にするならAravisとSaisiesでRoselendが別格な感じがしました。


  走れ、沈む夕日より速く。日没までに峠を下りきらないと寒さで死んでしまいます。


  東に向かって下っている時点で敗北確定なのですが。
自らが下る斜面の影は遥か向こうに。

  下りが、というよりは川沿いがとにかく寒いです。
横を川が流れ出した瞬間に体感温度が数℃下がる感じで、膝がすっかり冷えてまた痛みで動かなくなってしまいました。もう痛み止めもダメ。


  ブール=サン=モーリス(Bourg-Saint-Maurice)の町が見えてきました。
山で囲まれたこの町はもう完全に影の中。


  結構大きな街ですね。
周りが山だらけだし、ここを拠点にするのも面白そうです。


  しかーし、今日の宿泊地はこの街ではないのです。
ホテルはここから少し登った先にあります。写真の道標の峠かなと撮影したけど実際は別の峠でした。

  (朝が遅くなったのでショートカットしたものの)このコースを走ったら多分ブール=サン=モーリスに着くのは夕方になる。いくらチェックイン時刻が遅いホテルを探そうともこれ以降に峠を越えるのは寒くて厳しい、しかし登りなら、登りだけなら夜中でも寒くないから大丈夫。

  そんな風に考えたバカがいるんですよ。
誰だよこんなコース作ったのは、もうこの街に泊まるでいいじゃん。アホ、あの時のオレのアホ。
見事プラン通りに薄暗くなってきた中、痛む膝で悪態をつきながらのヒルクライム。ホテルの所在地はこの先の小さな町のセエ(Seez)。そこまでは直ぐでしたがGPSに表示されるルートは町を通過し九十九折の山の中へ。

  23時までチェックイン可能ということで、想像していたのは山の中のスキー場のようなちょっとした町にあるホテル。しかしここから先には何も見えません。木々の中で視界は悪いですが、それでも少しくらいの灯りは見えていいはず。
  真っ暗になった斜面を登っていくうちに不安になります、本当に合っているのかと予約の紙を取り出して見たところ「チェックイン予定時刻を連絡してね」と書いてありました。

  そんな連絡してないし…もしかしてこれは峠の中腹にある山小屋みたいな宿で、麓のおじいちゃんとか客が泊まるときだけ車でやってきて鍵を開けてとか、そんなトコなんじゃないだろか。チェックイン時刻連絡しなかったからおじいちゃんもう諦めて帰っちゃってるんじゃないか。
  膝の痛みで速度はさらに2/3に低下、100m登るのに15分ペース。行けども行けども闇は続き、もしやってなかったらこれ下って街に戻るのかなと悲しくなってきました。

  GPSによるとホテルまであと300m。あとカーブを一つ曲がるとそこにあるはずなのにやっぱり真っ暗。残り100mでようやく見えてきたアレは、


  ホテルです。山小屋じゃない、デカい。
日本のホテルのように煌びやかにライトアップされているわけでもなし、木々の中、ホントに目と鼻の先に近づくまで全くわかりませんでした。

  時刻は21時50分、標高は1454mと麓から630mのヒルクライムはこれにて終了。


  部屋も立派です。


  ソファーに座ってビールをゴクゴク。


  ホテルの女性はどこから来たのーとか話しかけてきてくれました。
こういう時って自分の英語力の無さが悲しくなります。写真撮らせてとお願いしたところ、「えっ私?」と超テレてました。


  内装は綺麗で全然山小屋じゃなかったですね。もしかしたら水出ないレベルでは?とか心配していましたがそんなことはありません。


  バーカウンターの奥にはレストラン。
到着が真っ暗だったので時間を1時間勘違いしてもう閉店かとビールだけにしちゃいました。23時までは1時間以上あったのでしっかり食べればよかったです。(30分くらい飲んだ後にまだレストランやってると気づいた)


  客室の窓からはブール=サン=モーリスの町並みが。


  風呂にバスタブがー、って喜んだのになにこれ?水溜められません。
シャワースペースとしてバスタブを使っているだけなのかなあ。


  スタートしてから少し東に向かい、2009年ツールドフランスコースを走る予定が前半をショートカット。代わりに登ったAravisは2010年ツールで使われた峠のようです。


  縦軸の尺が縮んで2000mまで表示、山岳コースらしくなってきました。

■ホテル: HOTEL BELVEDERE
宿泊費 65.45ユーロ(ブッフェ朝食込み)
ビール 26.6ユーロ

■8/29, Stage-18 (ガイヤール - セエ)
走行距離 154km
累積標高 4137m

■ここまでの累積: 距離 3177km, 標高 31310m



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