○4/30
もう1ヶ月近く咳が続いている。昼はなんとも無いが夜中や明け方に咳き込むことが多く、この夜も何度か自分の咳で目を覚ました。
同室に若い2人が寝ており、起こしちゃってたら悪いなと思ったがグッスリ寝ていたようだ。新潟から来た2人は去年からブルベに参加し始めたとのことで、こんなすれたオッサンと違って完走にかける意気込みは素晴らしく昨夜も最初は宴会に出ずに睡眠時間を確保しようとしていた。
朝、雨は降っていない。どんよりとした感じも無くもしかしたら降らないのかもと期待。
ブレーキシューはここまでの2000km弱でかなり磨耗している。タンデムだと重量があるせいか、Vブレーキ故か、ロードと比べるとかなり減りが早く感じる。
桜島の火山灰はガラス質の成分が含まれており、チェーンやシューに大きなダメージを与えると聞いていた。雨の中ブレーキシューを交換するのは面倒(手が真っ黒になる)なので出発前に持ってきた新品のスペアと交換。
出発前の集合写真。
スタート直後。雨、なんとか持つんじゃないの?
期待空しく、1時間も経たないうちにポツポツと降り出す雨。雨脚は徐々に強くなっていく。
しかし天気予報によれば強く降るのは午前のみ。午後からは降っても1mm/hほどで、徐々に回復に向かっていくという。
あと3時間程度ならば雨具を着る必要は無いだろう。気温はある程度高く湿度も高いこの状況ではゴアの透湿では発汗に追いつかず、中は汗で濡れてしまう。ダラダラ走るならば必須なカッパもまだまだ序盤、脚があるうちにそれなりの速度で少しでも時間を稼いでおきたい。
参加者たちが止まってカッパを着込む中、半袖短パンで走り続ける。強い雨が目に入って目が開けてられなくなった。目に傷があるのか数年ほど前から発生しだしたこれが雨天走行時の一番の問題。片目だけならともかく、両目が痛み出したら目が開けられずに全く走れなくなってしまう。去年の東北1700の300km終盤もこれで苦労したっけ。雨に備えて自転車用キャップを持ってくるつもりがすっかり忘れていた。
歩道に立ち止まってタオルで目を拭きながらの走行。
RUDYのサングラスを跳ね上げ、その上にタオルを置いてタオル端は耳の上からヘルメット後ろへ。タオルとサングラスで「帽子のツバ」のようにしたら雨が直接目に入らなくなり、なんとか走れるようになった。良かった。
丁度後ろから来た佐藤さんら5人程の集団に乗る。
緑のレインウェアを着た人が地元らしく、「ここからは市街地で左折レーンが増えるから気をつけて」とアドバイスを出しながら前をひいてくれた。暫くこの方にひかれて鹿児島市街を通過。しかし寒い。雨脚は弱まることなく、気温が一気に下がった気がする。
汗で結局濡れるといっても風を直接受けるかどうかで体感温度は全然違う。ゴア合羽ではなくウインドブレーカー程度でも羽織ればよかったのでは。時既に遅しで、体は冷え切って動かなくなってきてしまった。
仕方なくPC1前のコンビニにピットイン。雨ということでここで休憩をとっている参加者は他にも何人か居た。
コンビニ向かいは鹿児島湾を挟んで桜島。3km程しか離れていないのに雨とモヤでよく見えない。
体を拭き、インナーを着替える。これで残りのインナー&ジャージ&レーパンは1枚ずつ。340kmで予約しているホテルまでの間にもう一回フル着替えできるからなんとかなるかな。
トイレに何回も行って、温かい物を食べまくって、ようやく走り出せるようになったのは45分後。雨で体が冷えてリタイアというのは良くある事、今回も危ないところだった。ここからはゴア合羽を着て汗をかかないペースでタラタラと。
海岸線の多少アップダウンある道で1時間遅いスタートのフィリップさんに抜かれる。「先頭?」と聞くと「前に2人ほど」さっき休んでる間に9時スタートのトップ、おそらく落合さん、に抜かれたのか。
雨の600kmブルベ序盤で1時間近く失ったのはかなりピンチ。それに疲労からか速度がちっとも上がらない。自宅をスタートしてからここまで2000km超。今回はそれほどハードなペースでは無いが、どんな速度で走った時でも大抵2000kmを超えたあたりで疲労の蓄積を感じる。今日は厳しい戦いになりそうだ。
PC1で女性参加者の綾袮さんに会った。スタート地点では佐藤さんが「追いつかれたら終わり」のようなことを言っていたので9時スタートだと思っていたが、スタッフとして横山さんの車に乗って来てたのか。なんて軽く頭を下げてすぐ出発。
これは大きな勘違い、フィリップさんが言っていた「前に2人いる」のうちの一人が彼女。速いとは聞いていたが、まさかPC1までの86kmで1時間つめられるとは思ってもいなかった。
PC1を出発して直ぐの地点で止まっている女性。声をかけるとライトを固定しているブラケットのネジを落としてしまったそう。
雨の中探してるがなかなか見つからない。時間も無くなっちゃうし、コンビニでテープでも買ってグルグル巻きにして固定したらいいんでない?と話したところで見つかるネジ。良かった。
ホントはパニアバッグの中にタイラップを持っていたのだけれど、バッグ開けると中身が濡れちゃうんで渡さずに黙っていたんだ。次のPCでもしまた会ったら渡せばいいかなって。
相変わらずの雨で見えない桜島。時刻は13時、そろそろ雨は弱まってもいい頃なのだが。
島にかかっている橋がうっすらと見えてきた。
同じ形の船が沢山。
途中公衆トイレに寄ったら、隣にこんなものがあった。
川も水ではなくて土が堆積している。火山の影響だろうか。
あちこちにある避難壕。中にはバス停と兼用の所も。
「噴火した際には火山弾が降ってくるから注意」といった看板も見られ、そんな事言われてもどう注意すりゃいいんだと悩みながら、
通過チェックのコンビニ到着。
とにかく時間が無い。イートインで食べてる参加者は暖かそうだが、このPCも食料をささっと買って直ぐに出発。
雨はまだ止まない。
この辺りの植物はなんだか南国チックな感じ。
急に気温が上昇、というか生暖かくなってきて、火山に近づいたせい?とちょっとビビる。
更にこの写真を撮っていたら急に咳が出てきて止まらなくなった。
去年阿蘇山に登って「ガス濃度が高まったから皆下山」状態になった時の周りの人のゲホゲホと似ている。もしかして火山ガスが出ているのだろうか、慌てて下る。
慌てて下っている最中、ブレーキをかけるが自転車が減速しない。
しまった、シューが相当減ってるからさっきのコンビニで調整しなおそうと思ったの忘れてた。
このタンデムはVブレーキにフラットハンドルだったのをドロップにしてSTIに変更している。ロード用シフターとVブレーキとではワイヤーの引き量が合わない。ミニVブレーキに変更してはいるがそれでもまだ足りない。ブレーキレバーを動かした時にVブレーキのシューが動く量はロード用キャリパーと比べて少ないのだ。
この為、シューが少し減っただけでレバーを引ききってしまうことになり、こまめにワイヤーを調整しないといけない。しかしまさか、朝調整してきたのに雨の中150km走っただけでそこまで減ってしまうだなんて。桜島の火山灰のせいなのだろうか。
レバーを一杯まで引いても自転車の速度は落ちない。信号や交差点はまだ見えないが、このままではいずれ大惨事となる。歩道に乗り上げてクリートを外し、靴を地面につけてガリガリと減速を試みるが速すぎて危ないだけで全くダメ。
ブレーキワイヤーを直接引けばいいのではと気づき、フレーム横のリアブレーキワイヤーを手で掴み思い切り引っ張ってなんとか減速。危なかった。これワイヤーがフレーム内蔵タイプだったら転倒は避けられなかったかも。
その後は雨の中をひたすら走ってPC2。
到着は19時。カップ麺等を食べながら1時間ほど暖まる。ここにも横山さんが先回り。
「ここはPCだから預けてある荷物取り出せるよ」と声をかけ、降り続いた雨で冷えた参加者たちはゴール地点まで運ばれる予定だった荷物から衣類を取り出していた。一人でスタッフしててこのサポート。「あの人はいつ寝てるんだろう?」と感謝しつつ不思議がる参加者。
午後は1mmなんて予報は外れ、ここまで酷いときは10mm/hの雨が降っていたようだ。横山さん情報によれば雨はあと数時間で上がるらしい。もう少しの辛抱。
いや辛抱というか、確かに降り続く雨にウンザリしていたけど、気温は昨日までと比べるとずっと高く濡れなければ寒さは感じない。寒くないだけずっとマシだ。
暗くなった中をトボトボ走るうちに弱まる雨。22時半、PC3に着いた頃には雨はようやく上がってくれた。
岩本さんや台湾からのリンさんもここにいて、雨が止んだのを共に喜ぶ。去年の福岡1000kmでは逆周りでちょうどここがPCとなっており、台風で大変だったらしい。リンさんはその時参加してDNFだったので今回リベンジだと言っていた。
予約したホテルをひたすら目指して、PC4を超えて自衛隊かなにかの基地の周りのアップダウンを嘆きながら、高鍋に着いたのはなんと4時。
340kmを18時間と踏んでいたのが2時間遅れの到着となった。ホテル前には参加者のものと思われる自転車が既に6,7台ほど止まっていた。
フロントでチェックインの際、「少し前に到着した稲垣さんが鈴木さん到着できるかなあと心配してましたよ」と言われる。立川さんも2時間ほど前にここに到着しているようだ。出発は、ギリギリまで遅らせても7時には出ないと間に合わないか。明日元気に走れるだけの睡眠がとれるだろうか。
■4/30 指宿-高鍋
走行距離 345km
累積標高 1214m
■ここまでの累積: 距離 2337km, 標高 17188m
0 件のコメント:
コメントを投稿