2021/06/15

2018RAAM_20:ルーキーオブザイヤー

 TS30の人たちは大きなモニタで選手の動きを追っている。なのでどの選手がどういった走りなのかはかなり掴めており、私は停車時間が多い「ウサギとカメのウサギだ」と言われた。
 ウサギというほど速くはないが、確かに停車時間は多い。その割に睡眠時間はとれていない。普段から共に活動し連携がとれたチームとは異なり、我々は経験が無い者ばかりだ。それにブルベ等のロングライド主体で組まれたメンバーには、1分1秒でもタイムを削るというレース的な共通意識は湧きにくい。
 ※これ、クルーだけの事を言ってるんじゃなくて私自身もね。無駄な停車時間が多く、どこかヌルい所が多かった。

 それは必ずしも欠点じゃなくて、私はそこまでレースレースしてない、例えばマヤさんが「砂漠の熱で目玉焼き作る」なんて言い出しても笑っていられるような、そんなチームで完走したかった。(クルーの都合でレーサー止めないで!って小言は言ってたけど)

 スタートから丸6日が過ぎ、この夜はこれまでの削ろうと思えば削れる無駄な時間ではなく、眠気による30分ほどの仮眠といった停止が増えてきた。
クルーもお疲れ

 序盤の最下位から少しずつ順位が上がり1桁になってくると、俄然他の選手の動きが気になってくる。そんな中飛び込んできたのが現在2位を走る選手のリタイア。

 RAAMは総合優勝だけでなくいくつかの賞がある。KOM(キングオブマウンテン)やKOP(キングオブプレーリー:平地最速)、それから気になっていたのはRookie of the Year、初参加の中での最速ゴールに与えられる賞だ。
 最も有力な総合優勝候補は過去4回優勝しているストラッサー選手。今回も600km/dayを超えるペースで私より遥かに先におり、次元が違う、というかたぶんマシン。
 リタイアの情報が流れた2位の選手は初参加であり、私は新人賞からほど遠いなと思っていた。が、彼が抜けた今、残りの新人は7位~11位、100km以内に5人が固まっているという混戦で新人賞争いが面白い状況に。
上位3人以降はかなり団子状態

 相手がリタイアしたから賞が、ってのはかなりカッコ悪くて価値なんて無いし、リタイアの原因も事故のようでとても喜ぶ状況じゃないけれど(命に別状はなさそう)、狙えるものは狙ってみよう。
 このRAAM、参加には時間も予算もかかるし、一生に一度のチャレンジと考えての参加だった。しかしこうして走っているうちに、もっとチーム間の決め事をつくって、1分1秒を削るような努力をクルーにもしてもらって、限界までタイムを目指した、そんなRAAMをもう一度走ってみたいと思うようになってしまった。
 しかし仮にそんなチャンスがあったとしても、新人賞が狙えるのは今回だけだ。それに実績も何もない私が、もう一度RAAMに参加するにはここでそのくらいの走りができなくてはダメだと思った。

 新人の中の一人、JAVIER IRIBERRIさんは長時間休憩を挟んで走ってるためこの位置にいるだけで、走行時の速度は私より速そうとのこと。停車時間は多くてもまとまった睡眠をとれていない私が、しっかり寝ていて速度も上な人に勝つ望みは薄そうだが、やれるだけやってみよう。クルーの作業も更に過酷になるかもしれない、皆よろしく。
朝が来てカップ麺を食べながらクルーとそんな話をした

そして仮眠、シューズを脱ぐのも面倒でこのスタイルが増える

 ※ちなみに2019年のThe Japanese Odysseyで暫く一緒に走った日本在住のMikel氏はこのJavier氏の知り合いで、ウチら家の裏がピレネーだよと言っていた。羨ましい。
道幅が広くなってきた

 舞台はカンザスからミズーリへ。ロッキー山脈を抜けしばらく続いた平地はおわり(ただし強い横風に悩まされたが…)、ここからはまたアップダウンが始まる。
 ここで最初に貼った区間ごとの斜度グラフをもう一度。横軸は距離、縦軸は各TS区間の平均登り斜度(獲得標高/距離)を表す。
本当に大変なのは終盤だけどね

 次のチェックポイント、Camdentonまでは2%、100kmで2000m程度のアップダウンだ。大きな峠は無いが結構登る、道路は幹線でデカい。それがどういうことがというと…
これが延々と続く

 萎える…。私が好きな登りってのは山で、こういうアップダウンじゃないんだなあって実感しながら走る。
 それに肩から首にかけての重さはいよいよ深刻になってきて、下ハンどころかブラケットの深い位置も持てない。完全に起きたポジションで下りもキツいのだ。

 TS32、Camdenton手前で3号車がホテル泊しており、なんとかそこまで頑張ろうとクルーに励まされ、ガチガチになった首でホテルにたどりつく。なんと部屋が4部屋とられている。RAAMの参加者だと説明したら、ホテルのオーナーが予約していた2部屋から4部屋に無料で増やしてくれたとのこと。
 蓑田さんから冨永さんに引き継がれた「あおば式マッサージ」をうけ、ベッドに1人でグッスリと眠った。グッスリといっても2時間半。かなり厳しくなってきたがこの時はまだ新人賞のことが頭を過っていた。
ホテル前でくつろぐクルー

 この時点で首が動かなくなってはもうどうやっても完走は厳しかっただろう。それでも後から振り返ってみて、ここの休憩はもっと長くとるべきだったように思う。後日FBを見たら、前半クルーで離脱した蓑田さんが「そろそろ長い休憩をとってみては?」って書いてたな。

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