上下真冬用ジャージ、それから防寒テムレスを身に着けて快適なダウンヒル。
まだ黒いテムレスなんて無かったのだ
下り終わったあたりで日も暮れ始め、交代クルーの待つ次のチェックポイント、トリニダードへ。
そろそろ日暮れ、急げ!
トリニダード到着は22時。街の中央広場から少し離れた場所のホテルにクルーが宿泊していた。
コースを少しでも外れての自転車走行は禁止なため、広場からの数百mを車に乗せて移動、ホテルへ。
待望のベッド、クルーからは暫く休めばと提案されたが、先を走る選手たちも多くがここで休んでいるよう。RAAM全体で8位~12位くらいが今この街にいる。
差を詰める、あるいは逆転するチャンスと気持ちはかなり昂っており、1時間弱の睡眠でここを出発。ベッドでの睡眠時間より車中での仮眠のほうが長いのは、振り返ってみて失策だったと思う。ホテルでもっとしっかり寝ればよかったかな。
ゴミのような仮眠スタイル
先着していた何人かは私が寝ている間に出発していて、順位は1位上がったくらいか。でも数km先には、過去2度同じRAWを走った勝手ライバルのアンディがいる。なんとか彼に追いつきたい!
深夜の走行。ここから追い上げるぜ
ここからは暫く平地だ。ただ風向きは思ったほど良くはなく、ほぼ横風。それでもこれまでよりは高速に、暗闇の中走り続けて前のアンディとの差を詰めていく。
前まであと8分、よし、後少しってところでパンク。更にフロアポンプの破損、工具の位置をクルー間で共有できていないなどのトラブルにより大きなタイムロスが発生。
フロアポンプが破損したのなんて人生初だよ。しかも悪いことに小雨の中での作業で、工具等はここでサビサビになってしまった。
ドロドロのぬかるみを歩き、クリートの中は完全にドロが詰まってペダルをキャッチできない。靴を交換して2号車に洗って貰うよう頼む。(しかし真っ暗でなかなか作業できる場所が無かったようだ)
トラブルは仕方ない。
だけど、レーサーが自転車から降りたらすぐ椅子を用意して一歩も動かなくていい他のチームがある中、ウチはサンダルの位置すら自分で把握してないといけなくて取りに歩いた結果のドロ詰まりだし、ライトのバッテリーは交換してないし…
あー協力してくれるだけで非常にありがたいなんて何度か書いてるように、最初からクルーに厳しい要求はしてなかったつもりで、それでいいと考えていた。
でもここにきて疲れが溜まってきてる中、ちょっとそういう、上手く回らなさにイライラしだしてしまった。クルーもかなり疲れが溜まっていたように思う。
特にマズいのが専属メカニックの不在。我々のチームでメカニック力が高い人は優秀なドライバーでもある。運転で疲れた後に交代でメカニックをやるため、どうしても情報伝達にミスは出るし、責任の所在もわからなくなる。
これはメカニック当人ではなく、チームを作った自分のミス以外の何物でもないのだけれど、上手く回らなさにもう自分がメカニックの最終責任者になるしかないとか言い出した。まあ走りながらそんなことはできるはずもなく、その後はより皆が頑張ってくれたおかげでなんとかなったのだが。
夜明け前のカンザス
緩やかなアップダウン、それよりも舗装の割れ目がキツかった
ここまでで疲労はかなり蓄積されている。真っ暗で無彩色な景色のはずなのに、世界がシアンやマゼンダの点描で描かれているように見えていた。
特に他には実害がないため「目が変になったのかな?」と走り続けていたが、夜明け前には頭がかなりバグってきており、走るのは危険と判断し自転車を止めて車内で寝た。
夜は常にサポートカーが伴走してくれる。が、孤独感はある
30分ほどで起きたが、まだ目の前は仮想世界のままで、もう1時間眠る。
待望の夜明け
これで頭はスッキリして、イライラからも少し解放された気がする。この区間は平地とはいえ1m置きに継ぎ目が走っているような酷い路面状態で、上半身やケツが想像以上にダメージを受けている。
ここからはカンザス、見渡す限り続く小麦で、地平線までずっと茶色だ。
砂か、小麦か、序盤の砂漠と変わり映えないじゃん。そう思いながらペダルを回した。
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