2019/11/13

2018RAAM_14:最高標高地点での夜明け

 クルーが休んでいたホテルでシャワーを浴びて30分ほど仮眠。
 スッキリしてさあ出発!と外に出るとなんだかクルーが揉めていた。

 RAAM、いろんな性格の、しかもほぼ全員ランドヌール(ズ)というクセのある奴らが2週間同じ車で過ごすわけで、そりゃ常に円満に行くわけじゃない。
 お金でドライバーを雇うとか、チームの作り方にもいろいろあるけれど、私は「私の完走を願って」いてくれるクルーであれば、多少のイザコザなんて後で笑い話になると思ってる。

 「まったく、レーサーが出発できる状態なんだからクルーの都合で止めるなよ」ってのは正直道中どれだけ感じたかわからないが、それでもクルーの皆は大して速くもなく弱点の多いこんな私の事をよく理解し、協力し、多少の差はあれゴールを願ってくれている。それだけで満足だよ。
 まあ小言は言うけどホンキで怒ってるわけじゃない。


 さてクルー入れ替え業務で空港に向かう3号車と別れ、目指すはRAAM最高地点、アメリカの大分水嶺、標高3309mのウルフクリーク峠。
 しかしこの先の道が……中央分離帯もあり広い幹線道路ながら街灯はほぼなく真っ暗で、ゆったりとした登りが延々と続いていて、とにかく眠い。

 100kmも走らないうち、次の町パゴサスプリングスの手前のガソリンスタンド前で1時間ほど仮眠することになった。

ごめん眠いわ…

あおば式マッサージは蓑田さんから冨永さんに引き継がれた

 ここまで3日間、ベッドでの睡眠は先ほどデュランゴでの30分だけ。2号車には横になれるスペース&マットがあるとはいえ、ちゃんとしたベッドとの疲労回復の差は歴然、ここで車中仮眠するならさっきもっと寝ておけばよかった。

 悪いことに天気予報は下り坂。雨の中、3300mを超える峠に朝5時到着とか寒さで死ねる。なんとか頑張って早いうちに通過しないと。ここからは私の好きな登りだ、登りで眠くなるわけがない。

 奮い立たせようとするも眠気は消えず、眠気を払うためにサポートカーに音楽流してと頼むが、どうにも知らない曲で登坂とリズムも合わなかったのでやっぱ止めてと再依頼。注文の多いレーサーですまぬ。

 途中停車して仮眠の繰り返し、しかも思ってたより峠がキツく時速10kmを下回る速度でゆっくり登った。

好きな登りのはずが仮眠&休憩の繰り返し

 ピーク到着は予想よりずっと遅くて、朝6時。しかし幸運にも雨は降り出さず、雲に覆われた空が地表の冷却を防いでくれたのか、気温は5,6℃。この峠の6月の平均最低気温は1.7℃で、明け方到着で氷点下も予想していただけに嬉しい誤算となった。

 全然寒くないよこれ。

いやメチャ寒い

 標高3309mは台湾の武嶺(3275m)を抜いてこれまでのロード走行最高地点。
 急激な気候の変化で気管支系がダメージを受けているのか、単なる疲労か、普段は山岳でも平気な呼吸が物凄く息苦しい。
 全然出力を上げて漕いでないのにゼーゼーして体が動かず、休みがてら記念撮影。

こういう楽しい旅行気分で時間費やしてたのがダメだったな…

 後ろから来た選手は、ぱっと写真1枚撮って行ってしまった。こんなことしてる余裕は無いわけで、あれが正解。


 服を着込んでのダウンヒルは、空気の薄さもあってか頭がフラフラして意識が飛びそうになる。
 こんな下りでの居眠りは大事故、最悪なことに雨も降り始め、路肩に車を止めて暫く仮眠することにした。

 暖房でガンガンに温めた狭い車内。普段車内での仮眠は私が軽く寝る程度なのだけど、クルーも相当疲れていたのか、気が付いたら全員が眠りに落ちていた。

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