2017/06/08

重・版・出・来! 2

  「ブルベのすべて」売れてます。
あれ?売れてないって言ってなかったっけ?って考え方少し変わりました。

■売上の話

  発行部数や売上は、出版社がどんな戦略で販促してるのかわからないので、ここで直接的な値を出すことはしません。というか私、売上の情報なんて持ってないし。
  しかし、内部情報ではなくて一般的に手に入る情報で、いろいろ推測してみたいと思います。

・書店

  …置いてません。
  いくら「全国書店で大人気」なんて吹いてみたところで、2,3件回れば置かれていないなーとわかります。都内の大きな本屋には平積みしてある所もあるんですよ、でも少し小さな個人書店にはまずありません。

  初版が全国の本屋に並ぶにはどのくらいの部数が必要か、なんて情報はググればすぐわかるかと思います。
  何件か書店を回ったところ、これまで全く門外漢だった私でさえも「某ホイールの本は初版どのくらいなのか」とか、なんとなく想像するようになってきました。

  初版が少ない本を多くの本屋に分散させた場合、1冊ずつ棚置きになってしまって目に留まらずに売れないのです。なので一極集中でいきます。これは当然だと思うし、私の本も多分そんな感じで全国に納品されています。

  ま、本屋に並ばないのは仕方ないのです。実績も何もない筆者が書いた、ニッチなジャンルの本ですから。本題はここからです。


・Amazon

  売れています。最初はこんなものかなーなんて考えていましたが、冷静に考えるとバカ売れです。

  こちらも売上はわかりませんが、Amazonには売れ行きをベースとしたランキングシステムが存在します。ブラウザにプラグインを入れて表示させた過去のランキンググラフが以下になります。


  縦軸が順位。4/10に登場した直後に知人たちが予約を入れてくれ、400位あたりを2日間ほど保っています。この後少しサンプリング間隔が長く不正確になりますが、発売前日5/16までの1ヶ月間、1000~7000位を漂っています。
  発売後1週間は500位弱、その後徐々に順位は落ちてきているものの、今日まで1000位をキープしています(1日1700位くらいまで下がった)。

  さてこちらのAmazonランキングの謎を解くによると、Amazonのランキングは1時間おきに集計されており、売れたらトップに出るモデルを採用しているとのこと。
  細部ではいろいろ異なりそうですが、まあ大まかにはそういう動きをしているようです。売上が全くない時は順位が下がり続け、売れた時に上がる、という遷移を繰り返します。

  この本の著者によれば「1000位は2冊/時売れる」とのことですが、まあそれは無いでしょう。2011年と6年前の本なので当時はそうだったのかもしれませんし、全体的なモデルを扱った本ですので高いランクでの予想値は実数とズレているのかもしれません。とにかく、現在2017年において、1000位で2冊/時はありえません。

  ランキングの遷移を追っていくと、順位が落ちていった後に上がったタイミング、ここで「本が売れた」ということがわかります。1冊なのか2冊なのかはわかりません。しかし、ランキングが前回の集計とほぼ変わらない順位だった場合、その順位を保つのに必要な売上はn冊/時(nは自然数)と強引に予想することができます。
  で、まあ、ざっと眺めた感じだと1000位以内で1冊/時くらいかなあと。かなり怪しい部分もありますが、それでも1000位以内なら10冊/日は大きく上回りそうです、3000位だと5冊/日あたりです。

  この不確かな値を使ってAmazonでの売上を予想してみると [1000位以内]x25日 + [平均3000位]x33日 = 765
  500~1000冊くらい売れていると予想できます。1000位以内を1000位としているので、希望的観測ですが1000冊ちかく出ているかもしれません。

  で、このタイミングで重版。

  一般書店でどの程度の売り上げがあったのかは見当もつきません。どこの書店にいってもある程度積まれている某ホイール本のAmazonランキングは発売1週間は300位以内と好調でしたが、その後1000位以下に落ちています。

  「ブルベのすべて」はたぶんAmazonでの売り上げが異常なんです。ここで書いた値は信憑性に欠けますが、他の本のランキングを見てみても、3週間1000位をキープというのは結構売れている本になります。

  2014年より始まったAudaxJapanの会員は、2017年で3000人を少し超えました。
  「ブルベ界で最近話題の本」なんて知人が書いてくれることがあっても「そんなに売れてないよ」と悲しんでましたが、AJ会員数とAmazonでの本の売上予想を比べると、これは(狭いコミュニティ内で)相当売れている、といってもいいかもなと思い始めたわけです。身の丈外れた名著と比べても仕方ないしね。


  予約段階からワリといい順位だったのもポイントです。こちら、「発酵文化人類学」の著者のBlogを見ると、本が発売されてから何かをやっても遅すぎる、広まるには2~3ヶ月のリードタイムが必要、とあります。

  私は彼のように事前準備や、販促を行ってきませんでした。
  Amazonでの売上比率が高い本は、若者向けであるか、著者がSNSで大きなコミュニティを持っている、という話があります。ブルベ本はそこまで若者向けではありませんし、私のTwitterの使い方も知人のみのフォローで、面白いRTでフォロワー数を増やすといったことはしておらず、強いネット影響力を持っているとは思えません。

  それなのにAmazonで沢山の本が売れ、しかも3週間で重版がかかる、垂直立ち上げとはいかないまでも短距離離陸できたのは、知人たちが発売直後に本を読んでくれ、レビューを書き他人に勧めてくれた、ブルベコミュニティで盛り上がってくれたからに他なりません。

  改めて、本当にありがとうございます。


  それから、ここまでのデータをもって書店に対し「この本は売れるから置いて!」と強く推したいところですが、正直この先がどうなるのかは不明です。書店に置かれて売れる本なのか、現時点で必要としている層に全て行き渡ったため失速するのか、それでも、置いてくれる本屋さんはありがたいです。息の短い本ではないと思ってます、置いてください。
  Amazonで買ってもらうのと書店で買ってもらうの、どちらが私にとっていい結果になるのかもよくわかりません(一般的には本屋で売れたほうがより売れると言われていますが)。読み手がラクなほうで買えばいいと思います。ですが書店で見かけてページをめくり、面白いなと思って頂けたら是非そこで買ってください。


  本を書いた理由には、RAAMの為の実績づくりというのがありました。何の実績も無い私が「アメリカ横断レース出たいからサポートして」といっても「アナタ誰?」で終わります。鳴かず飛ばずであっても、本の著者という実績があれば少しは印象もかわるかもしれません。
  もちろん、売れなくても出ればいいや、ではなく精魂込めて書きました。結果狭い範囲とはいえ反響を与えることができ、売上も予想以上です。上で書いたようにこの先はランドヌール以外にどれだけ買って頂けるかという話で、多くの人に面白いと思って貰える本かどうかは自信がありません(だって完全にランドヌール向けに書いてますから)。内輪だけの反響で外には全く通用しなかった、でもいいんです。この時点でもう、大成功ですし、次もきっとあると信じています。

  その前に私は自転車乗りですから、執筆中に弛んだ腹を2ヶ月で戻し、来年に向けて去年よりずっと走れる体を作らなくてはなりませんな。


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