サポートカーの追従方法は2種類
1)レーサーの後ろを追従するダイレクトサポート2)通常の車の速度でレーサーを抜き去り、路肩1.5m以上内側に止められる場所を探し停車して行うリープフロッグサポート
・サポートカーというと多くが1)のダイレクトサポートを想像すると思うが、渋滞緩和の為都市部でのダイレクトサポートは禁止されている。特に前半は1000km以上がこのダイレクトサポート禁止区間、先行して止まってのサポートとなる。
・しかし夜間(19時~翌日7時)までは危険なことから逆にダイレクトサポート必須。サポートカーに追い抜きをかけた車が前の自転車に気づかず撥ねることのないよう、フォロービークル(レーサーの後ろを追走すると登録した車)はレーサーの7m以内を追走しなくてはならない。ドライバーはとにかく運転に集中してレーサーとの距離を保たねばならず、運営のCEO(過去レーサーとクルー両方の経験あり)はフォロービークルに轢かれたことがあると言っていた。
・ナバホ自治区(飲酒運転が多い)など一部地域もダイレクトサポートが必須となる。
・日中のリープフロッグサポート、特に序盤は多くの参加者のサポートカーの取り合いになり、路肩にスペースがある場所があまりない。場合によっては1時間のペナルティ覚悟で1.5m以内に止まるチームもある感じ。
サポートカーつきだから休まずに走れるかというとそうでもない。
・特にサポートカーが1台のRAW(Race Across the West)。クルーのトイレタイムやガソリン補給タイミング等も考えねばならず、レーサーはずっと走り続けられるわけではない。ウォルマートの大駐車場に止めてからのトイレはそれだけで10分コース。単独走でコンビニのほうが早い。
しかし
・パンク時の機材交換(前回1500kmで4回パンクした)
・衣類の交換
・夜間他の車からのガード
はサポートカーがいることで圧倒的に有利になる。特にこの砂漠を横断するコースでは30分単位でのドリンク補給が必要であり、サポートカー無しでの走行は困難。
フォロービークル以外は別ルートを指定される区間あり
・渋滞を避けるため、RV等の大型車は自転車と同じルートを走れない。ウォルマート等の駐車場での合流となる。砂漠の乾いた草はヤバい
・道路から1.5m離れなければと、砂漠で草の上に駐車すると車の熱で乾いた草に火がつきあっという間に燃える。この話を冗談だと思って笑っているチームがだいたい2年に1回くらい燃える。燃え盛るサポートカーから荷物を全部投げて他の車でレースを続行したチームもいたらしい。交通法規違反は失格
・オフィシャルカーが巡回しており、かなりいろいろ見ている。ガソリンスタンドで停車時に自転車のフロントライトを消灯してしまった(常時点灯が必須)ら、すぐにオフィシャルカーに注意された。・序盤の市街地は交差点にボランティアのスタッフがいる。
・他のチームの違反をチクる仕組みもある。
従って日本のこの手のレースにありがちな、上位は信号無視上等といったことは無い(そもそも距離に対して信号の数が圧倒的に少なく無視する意味も無い)
ドラフティング禁止
・他の参加者の後ろにつくのは禁止。・もちろんサポートカーの後ろも。
・1分間隔時差スタートから12.5kmのサイクリングロードは追い越し禁止のパレード区間。(25km/hを超えていた場合出口で時間まで停車させられる)
・サポートカー(ダイレクトサポート時)と並走しての補給受け渡しは1時間4回までというルールもある。
違反のペナルティー時間は途中のTSで拘束
・軽微な違反は1時間のペナルティー。これはゴールタイムに加算されるのではなく、途中のTSで1時間拘束される。レーサーは指定コースを順方向にしか走ってはならない
・コースを外れる場合は本部に連絡し、「サポートカーに載せて」移動しなければならない。・コースを逆走する場合も同様。レーサーはコースを逆走してはならない。
・クルーがコース上で自転車に乗ってはならないというルールもある。
ドーピングは禁止、WADAの規定に従う
・漢方に注意だねー、麻黄とかあるし。クルーも大変
・偶に写真を撮って遊んでいるクルーがいるが論外。RAAMソロはチームスポーツ。・RAAMのDVDではレーサーと「俺らも会社休んで来てるんだから走れよ」と喧嘩しているシーンがあった。
・2016年RAW、途中で会ったチームクルーが「予定の時間から遅れていて飛行機に間に合わない」と怒っていた。
・ゴール後、レーサーとクルーが一言も会話しなかったチームもあったらしい。
・レーサーもクルー(運転するしないに関わらず)も飲酒は禁止。
リタイアの理由
・やっぱり危険なのは事故。自爆して崖から転落、車に撥ねられるなど。死亡事故もあり。・シャーマーズネック(首に力が入らなくなり保てなくなる)も多い。ゆっくり速度域ではないため普段起きない人でもなるようだ。去年2017年は3450kmで2位の選手(新人1位)がシャーマーズネックでリタイアした。
・多いのが肺の障害。現在世界最速?のストラッサー、 TransAM女性記録保持者ジュリアナもこれでリタイアしている。砂漠の暑さの後に3300mまでの登坂で肺炎に陥ることがあるようだ。
・他にもカンザスでは小麦栽培の粉塵で肺がやられるという話もある。
・あとは低ナトリウム血症、腎機能障害、肝機能障害など。
主催はいろいろ慣れてる
・2015年に熱中症で救急搬送され妻の顔もわからない意識障害に陥った時に「2日くらいで治るよ」とスタッフが言っていた、ホントに2日で戻った。・そもそも救急車呼んでるのに「お前ら再スタートする場合はこの場所からだぞ」とか言われるし。
意外と融通が利く
・前日事故にあった選手、1時間遅れでのスタートが認められた。・一旦DNFを宣言した選手が、やっぱ走るとまた復帰していたり。
・今まで誰もチャレンジする人がいなかったハンドサイクルの制限時間はノーマルバイクと同じ12日だったが、レース開始以降に女性と同じ12日21時間に変更された。
途中TSでのカットオフも「この時間までに通過しなければゴールは厳しいですよ」と設けられているだけで、何かのトラブルで遅れても理由があれば通過できそうな雰囲気。
運営から感じられるのが参加者へのリスペクト。ルールが参加者主体で作られており、時にそれは曲げられる。
・但しゴールだけは1分でも遅れたらアウト。これは「過去の達成者の偉業を守るため」である。
企業サポート
・流石にこの規模のレースなので大きなスポンサーをつけている選手も多い。・アメリカ人選手のDAVE HAASEはIBMのサポート受けて心拍等のデータを中央管理していたり。
・私もどこかサポートしてくれないかなー。
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