ドラッケンというゲームをご存じだろうか?
1989年、フランスの開発会社が作成したAmigaのゲーム。国内移植されたPC-9801版では、画面の走査線書き変え中にパレットを変更し、同時発色数を超えたグラデーションを表示させて話題になった(いや話題になった理由はそれじゃない気もするが、とにかくそんな話を覚えている)。
ヘロヘロと走りながら夜明けを迎え、最初に頭を過ったのはあのドラッケンの画面だった。
360度どこを見回しても平らな地平線。その上には広がるのは真っすぐ縦方向へ描かれたグラデーション。ものすごくシンプルながら、ものすごく広大な光景に目を奪われた。
20km/hほどの速度で10km走って休憩、10km走って休憩。5回目の休憩はガソリンスタンドだ。ガソリンを入れ、不足していた氷を買う。休むついでにアイスを食べたら、ほんの少しだけ元気が出てきた。
夜のうちにスタート地点のコロラド州からアリゾナ州へと入っていた。
昨日と比べて増えたのはサボテン。
あまりに走行速度が遅いため、スタート直後に抜いた参加者にバンバン抜かれだす。でももう、それを追う体力も、気力もまるで残っていない。
白線の外側5フィートどころか白線を跨いで停車している。これはもう完全に違反で、この状態を密告?されればペナルティとなる。ま、我々はやらないけど、巡回しているスタッフカーに見つかったらアウトだ。
もちろんクルーも解っていないわけではない。RAW/RAAMでは、ルール違反と知りつつもペナルティ覚悟で止まらざるを得ない、なんて状況が出てきたりもする。
■TS5:Salome(551.1km)
スタートから20時間7分経過。区間平均速度はなんと15.2km/h。ブルベでもギリギリの速度だ。
明け方の停車から6時間経っても、未だ復調する兆しは無い。この時点でもう上位ゴールは完全に諦め、ゴール後のバンケットに間に合う72時間を目指すことにする。とはいえ、○○時間を目指す!といった走りは全くできておらず、とにかく動けるだけ動くで精一杯なのであるが。
昼が近づくにつれ、気温は上昇してまた40℃となった。ここはアレの出番だ。
吸水性の高い素材でできたベスト。水を思いっきり染み込ませておき気化熱で冷却するのが狙いだ。
持ち主のひであさんによると多湿の日本ではイマイチだったようだが、高温で湿度が低いここでは絶大な効果を発揮する。
さらに水が滴ってくるので尻が濡れるのが気になる。直ぐ乾くとはいえ、やっぱりパッドが濡れるのは不快なのだ。それでもメリットのほうが遥かに大きいのだけれどね。
この酷いコースを走りぬくため、参加者たちは他の完走者の装備をチェックする。冷却ベストはフォーラム等でも勧められていた商品だ。
後頭部を完全に覆うのは正しい気がする。私は耳がただれてボロボロになったから…
次のPC、初の有人PC(といってもチェックは本部への電話)までは残り20km。しかしこの20kmを漕げずにまた休憩。
で、10km走った後にもう35分休憩。死にかけ。
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