■何を書きたかったの?
-- 情報 --
冒頭で、人の数だけブルベが存在する、と書いています。それは例えるならば、個人が持つ「木」のようなものです。本書ではその木の形を伝えたいと思いました。
きょうび、ググれば情報は手に入ります。「知らない人にとっては検索ワードを検索することが難しい」なんて話も聞きますが、それでも慣れていれば情報から情報を辿り、いつかは必要としているものに出会えます。
しかし、それが正しいかどうか調べるのにはかなりの時間がかかります。更に重要なのは、こうやってググって手に入れられる多くの情報は「葉」だということです。その葉が自分のブルベの木をつくるのに必要なものなのか、それを検索するのが難しいのです。
葉はね、この本にはいらないかなと。そこに至るまでの幹、枝の形、そんなものを伝えることが出来れば、合う葉を見つけることは楽ですから。
それから避けたかったのは、木の形を確定させてしまうことです。
本書では私の木をベースに、いろいろな人の枝を並べてみました。木の全体像は人により違っていても「公道を安全に走るということ」や「夜間使いやすいライト」といった共通の枝も多いはずです。そんな枝を見て、ブルベの木の形を膨らまして欲しかったのです。
あとはあまりに飛び出た枝は切りました。普遍化した情報にはノイズです。
葉の詳細を書いていなくても、飛び出た枝が無くても、枝をしっかり書けば、それでもう十分に深いと思うのです。
-- 雰囲気 --
ブルベってどんなもの?という問いには、ルールを答えればいいのでしょうか?ノウハウでしょうか?ブルベの苦しさ、楽しさ、初めて参加した時のあのワクワクを伝えたいのだけれど、「苦しかったです」なんて書いても読み手にそれは伝わりません。ページをめくる度に、次は何が起こるんだろう?どうなるんだろう、そんなワクワクを味わって頂けたらいいなと、一旦仕上がったものの構成を大きく変えて、ブルベ日記を挟むことにしました。
うまく表現できたかどうかはわかりません、狙いはそんなところです。
■なんでハゲたの?
出版前にストレスで髪の毛掻き毟っちゃってハゲたなんて呟いてました、ハゲた理由はですね、出版業界がよくわからないことでも、筆が進まないことでもないんです。出版されたら、私が書いたものが面白いのか面白くないのか、わかってしまいます。最初の作品なのに、それはもう最後通告です。
「本出るよ」と友達に散々言ってしまっているのもダメージでかいです。いや、まあ失敗はいいんですよ、ひっそりと失敗ではなく大爆死になってもきっと友達は「うーん私には役に立つことあったよ」とか「次があるよ」とか言ってくれるでしょう、が、次なんてねえよ。
前に呟いたように、センスとかユーモアってのは [ある/ない] じゃなくて [合う/合わない] だと思っています。私はこれまで文章を書いてきたわけでなく、表現力や語彙は全く不足してるのは自覚してます、これはこの先まだまだ伸びるかもしれない。でも、自分が面白いと感じるものが世間から大きくズレてたら、もう次があるとは思えません。
生きていくには何も不都合がなくても、本を書くのはちょっと厳しいのでは、そんな判断が下されてしまうのが怖くてたまりませんでした。正直「このまま出版されないほうが幸せかも」とすら思っていました。ビビリなので。
知り合い補正でだいぶ盛って評価してくれているでしょうし、いちいち「面白く無い」なんて発言する人は少ないってことはわかります。でも面白いって言ってくれた人が一定数いて、すごくホっとしています。
読みやすさ、に関してもそうです。
理路整然と情報が纏まっているといった読みやすさでなく、もっと俗な、堅苦しくない読みやすさ。ラフなこと=乱れていることでもあって、ただでさえ上手くない文章に乱れが加わったら、それはもう目を向けられないほど下手に見られるんじゃないかって、このあたりのバランス感覚もドキドキしていました。
皆さんのお蔭での重版出来。でも少なくとも、箸にも棒にも掛からないものではなかったかなって、少し自信が持てました。買ってくれた方、特に人に勧めてくれた方、本当にありがとうございます。
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