2017/07/08

2016RAWその14:地獄へ戻れ

  ここまでで最大の都市、Flagstaffを通過後は長い一直線の下りでナバホ自治区に向かう。この下りの眺めが圧巻だった。


写真は下り半ばから

  残念な事に上からの写真が無い。Googleストリートビューで見てみたが、画角が広角すぎて地平線を見渡すあの感じは全く味わえない。
  道は真っ直ぐ地平線に向かって伸びている。両サイドの木々は奥に行くにつれて背丈の低いブッシュへ、その先はブッシュが段々と疎になっていき真っ白な砂地、さらに向こう、地平線の果ては何故か大地が赤い。

  折角2000mまで登ってきたのに、またあの死の大地へ向かうのか……。それは火星、いや地獄へ続く道に見えた。


1段目の登り返し

  道は一様な下りではなく、大きく3段の登り返しがある。


2段目の登り返し

  ブッシュの数が少なくなってきている。
  ここで機材トラブル発生、パンクだ。熱が原因なのか、タイヤの不良個体か、ゴムのトレッドがベースから剥がれてしまっている。
  サポートカーまで辿り着かねば修理は不可、剥がれたトレッドでホイールが上手く回らない。ブレーキを開放して押し歩きながら電話でクルーを呼び続ける、しかし出ない…

  どうなってるんだ、どこまで歩かないといけないんだ。見通しのよい下りで電波状況は良く、かなり遠くからトランシーバーが繋がった。状況を説明して車を呼ぶ。

  しかしこの道路、少し手前までは中央分離帯があったわけで、そんな所でパンクしてたら車はFlagstaffまで戻らなければならなくなっていた。トランシーバーが繋がったからいいものの、見通しが悪ければあと数km歩く羽目に合っていたかもしれない。これは体制に問題があるな、少し考えなければ。


3段目の登り返しを過ぎ

  既に周りにブッシュは無い。


そして砂地へ

  これ以降、大地は徐々に赤みを帯びだしていく。
  ここまでの下り、上からだとこの景色の変化が一度に見渡せたのだ。写真が無いのが本当に残念、初日にTTバイクに乗り換えた際にアクションカムを外してしまったのだけど、また設置すればよかったな。もう順位なんて関係ない位置なわけだし。


何もねえ


オーシャンサイドを出てから2日、雲を見ていない


ズバババーっと


遠くに霞む山から一気に下ってきた


映画に出てきそうな何かの売り場

  下界に降りてきて気温はどんどん上昇。たまらず冷却ベストを投入する。


冷却ベスト再び

  ここで、さっきのパンクから考えていたことをクルーに話してみた。


リープフロッグ方式について話し合い

  我々の近くを走っているチームで「レーサーが出発した後、車は凄いゆっくりとした速度でレーサーを追い越して行き少し前で止まる」という戦術をとっているところがあった。もちろんサポートカーがゆっくり走っては交通の邪魔になり、何のためにダイレクトサポート禁止にしているのかわからない。このチームは(恐らくこの走りが原因で)ペナルティを受けていたが、これを眺めながら考えていたことだ。

  「そもそも車が自転車を先行する必要は無いんじゃないの?」

  今までは止まっているサポートカーから私が補給を受けて通過、その後車も直ぐに出発して自転車を追い抜き、暫く走ったところで停車して私を待つ、という方法をとっていた。このやり方だと

・自転車にトラブルがあった際、車まで辿り着くのが大変
・ドリンク切れや体に異変を感じて停車しても何も解決しない、とにかくサポートカーまで走らねばならない
・道路の起伏や疲れによる私の速度変化を車からは読みづらく、補給間隔が一定にならない

  という問題が起きる。自転車を先行させて車は一定時間経過してから出発、追い抜いたすぐ先で停車する、逆にするだけでこれらの問題は全て解決するように思える。何かあって走れなくなった時に自転車は止まっていれば車が来る、サポート間隔も距離ではなくて時間ベースとなる。
  逆に車側にトラブルが発生した場合は大きな問題となるが、これまでの経験から言ってその確率は自転車側のトラブルよりずっと少ない。

  方法を話すとクルー達もすぐに理解し、よし、これで行こうということになった。
  ただ最初なので、車は自転車が出て何分経ったら出発すればいいのかよくわからない。時間を調整しながら何度か試していく。最終的には「基本10分弱、体調などで変化させたい場合はその都度告げる」という方法をとった。暑いから5分でスタートしてとか、この辺りは涼しいからもう少し長くていいよ、とか。
  オーシャンサイドをスタート直後は路肩の取り合いになるためこの方法では駐車スペース確保は難しく、車が先行して場所を探すこれまでのやり方を取らざるを得ないだろう。やはり参加してみなければわからない事は多い、たぶん次は、もっといろいろ上手くできる。


次は7分ね

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