スタートまであと2週間を切りました。出国までほぼ日刊で、RAAM、それから我々チームの説明を書いていきたいと思います。
※長いこと放置していた「アメリカ大陸横断レース」のページも、このRAAM通信に合わせて書き換えていきます。
■RAAMって何?
RAAMは「Race Across AMerica」の単語の先頭(+1)を並べたもので、直訳すると「アメリカ横断レース」1982年から開催されているこの自転車レースは今年2018年で37回目。年々コース変更はあるものの、西海岸からスタートして東海岸まで、総距離約3000マイル(4828km)、獲得標高175000フィート(53340m)を12日間以内で走るという基本ルールは変わっていません。
今年2018年のコースはカリフォルニア州オーシャンサイドからメリーランド州アナポリスまで、距離4939km、獲得標高54701mとなっています。
■カテゴリー・制限時間
Divisions
・ソロ男性・ソロ女性
・2人チーム男性
・2人チーム女性
・2人チーム混合
・4人チーム男性
・4人チーム女性
・4人チーム混合
・8人チーム
の計9区分
Categories (Bike Type)
・スタンダード(ロードやTTバイク)・タンデム
・リカンベント
・HPV(カウル付きのリカンベント等)
・ハンドサイクル
・オープン
の計6カテゴリ
Age Groups
・50歳未満・50-59
・60-69
・70-74
・75歳以上
の計5グループ
上記区分によりレースが行われます。
制限時間
・ソロ男性;288時間(12日間)・ソロ男性(60歳以上):309時間(12日間と21時間)
・ソロ女性:309時間(12日間と21時間)
・チーム:216時間(9日間)
開催年により総距離が変動しても制限時間は変わりません。
また、開催当初は先頭ゴールから1日以内の到着でオフィシャルフィニッシャー(真の完走)と、12日間という制限時間以外にもレース的なタイム制限が設けられていましたが、今世紀に入ってからはこれは撤廃されています。
■基本ルール
※ここではソロのルールを挙げています。・レースの為の公道封鎖は行われない。(各州警察に届け出はされている)
・ドラフティングは禁止、1分間隔時差スタートの完全なタイムトライアル。
・ソロ部門出走には参加資格(指定レースでの基準タイム内ゴール)が必要。
・レーサーにはGPSが渡される。レストランでの休憩等、コースから一定時間外れる場合は必ず本部に連絡しなくてはならない。
・全区間で50超のタイムステーション(TS:ブルベで言う所のPC)が用意される。TSは通過時間が記録されるが、制限時間が設けられている箇所はこのうち3つ。緩い制限時間であり、オーバーしていても正当な理由があれば通過を認められることもある。
・1チームはレーサーの他にサポートカー2台、車1台に対しドライバー2名のクルースタッフを用意しなければならない。(参加チームの多くは8~12名)
・スタートから約1000km区間、その他交通量が激しい区域ではサポートカーはレーサーの後ろ(当然前も)を走ってはいけない。通常の車の速度で運転を行い、道路から1.5m以上離れた路肩に停車してサポートする。
・ローカルタイム19時から7時までの夜間は、フォロービークル登録したサポートカーはレーサーの後方6m(20フィート)以内を追走しなければならない。
・並走しての補給食受け渡しは1時間に4回まで認められる。またこのときサポートカー内のクルーはレーサーの自転車等に手を触れてはならない。
・ミーティングの開始時間に遅れる、交通渋滞の引き金となる、路肩から1.5m以内の道路に近い場所にサポートカーを停車など、軽微なルール違反は走行時間に1時間のペナルティーが加算される。ペナルティー5回で失格となる。
・信号無視等の交通法規違反は一発失格。
・コース上はオフィシャルカーが巡回しており参加者の違反をチェックしている。また他の参加者のルール違反を申告する制度もある。
公道封鎖は行われず一般車と一緒に行われるレースですが、それ故に交通法規違反等に関しては重大なペナルティーが与えられます。また巡回オフィシャルカーやボランティアの立哨などチェック体制もあり、レースとして「ズル」が出来ないような仕組みになっています。
■ルート
カリフォルニア州オーシャンサイドからメリーランド州アナポリスまで、距離4939km、獲得標高54701m序盤
スタートから100km、標高1200m程の山を超えた先からは最初の難所、砂漠地帯が1000kmほど続きます。比較的涼く湿度もある西海岸から一山超えただけでガラっと気候が変わり、準備不足の参加者がまずふるい落とされるのはここ。この区間では、日中あまりに暑い場合はエアコンの効いた車内で休むといった戦略も必要になってきます。砂漠といっても日本の皆さんがイメージするようなサハラ砂漠のように何もない砂丘が続いているわけではなく、道の脇に小さなブッシュやサボテン等は生えています。それでも2015年には気温48℃、灼熱の太陽、雲一つない青空、数百kmに渡り存在しない日陰と、レーサーの体力を異常なまでに奪いました。
600km地点からは標高1000m超の高地を走ることになりますが、気温はあまり下がりません。(しかし夜間は冷えます)
私が過去走ったことがあるのはここまで。ここまでは実体験ですが以降は伝聞での情報です。
中盤
カリフォルニア、アリゾナ、ユタを抜けてコロラド州へ。1500km地点、同時開催されるRace Across the West(RAW:西海岸横断レース)のゴール地点デュランゴまで来ると気温は一息。ここからはロッキー山脈越えで標高3300mまで登坂。砂漠の猛暑から一転して涼しい高地となり、急激な気候の変化と疲労から肺炎になる参加者も出てきます。ロッキー山脈を越えればしばらく続く平地、しかしこのカンザス区間は例年大雨や強風に見舞われることが多く、また小麦の粉塵によりここでも肺にダメージを受けることがあるようです。
ミシシッピ川付近で大雨での氾濫による交通封鎖が毎年あり、レース中にコース変更、迂回路が指示されます。
終盤
コース断面図を見ると前半のロッキー山脈を越えればあとは平地に見えますが、これは縮尺の罠です。実はこのRAAMのコース、スタートから6割走った地点でまだ獲得標高的には半分。そう、一見平坦に見える後半のほうが登りが多いのです。
最後に待ち構えるのはアパラチアン山脈。大きな峠ではなく、細かなアップダウンが延々と続きます。
終盤になり100kmで3000m近く登る区間も。
■最も過酷な自転車レース!
距離/獲得標高のハードさだけでなく、様々な環境の中を走り続けねばならないこのRAAM。レーサーだけでなく、クルーもまた非常に消耗し、完走にはチーム一丸となった体制が必須です。(2016年の台湾チームはクルーが熱中症で入院していた)公式ではThe World’s Toughest Bicycle Race!(世界で最も過酷な自転車レース!)とうたっています。
というわけで、皆さん現地からのレポート楽しみにしていてくださいな。
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